コンプレックスを感じない、感じさせない社会を目指して
Aiming for society without making us feel complex and competition
高度成長時代、1980年代のバブル期を経て、物の豊かさが幸せ感のバロメーターになっていました。
大量消費による単価の引き下げにより、消費者の財布に恩恵をもたらす仕組みも作られました。
それは皆がハッピーのように見えましたが、実は資本側と一般人の間に階級を生み、富の一極集中がもたらされるという皮肉な結果に我々は遭遇しています。
サブプライムローン問題でのリーマンショックを経て、価値観の変遷も起きたのです。
つまり物を持たないシンプルな暮らしの実現こそが『生きやすい』という価値観です。
その一つに豪邸を持つことが人生の夢だった時代から、家は『住めればよい』という感覚が先の崩壊で生まれたのです。
更に今は、『所有』から『シェア(共有)』というライフスタイルが若者たちでは普通になりつつあり、生き方、考え方が変遷していっています。
それは非常に現実的選択であり、限りある可処分所得の配分を『所有』によるコスト増を避け、『共有』することで賄えるものは安いコストで楽しむ選択を好みます。
それは将来の社会不安をより現実的に捉えている事実でもあります。
この考え方は非常に合理的であり、大きく所得が伸びることのない現代においては自衛の選択としても当然のことです。
そこで余分なものを削ぎ落として、身軽に人生を謳歌するライフスタイルがこれからの時代にマッチしていくと考えます。
ただそれはプアーではなく、ミニマムなリッチであることを、社会全体で共有できる提案こそがこれからの時代に生きていくものさしになるはずです。
個別の提案ではなく、そのようなライフスタイルをモデルに出来るような提案が”ミニマムリッチ”には必要になります。
我々はシンプルな小さな生活でも、心にゆとりがある『楽』な生活を提案することを目的とします。
それは押し付けではなく、できるところからやればいい…。
殺生が伴うから肉や革製品は”絶対にダメ!”ではなく、栄養バランスや体調からお肉が必要なときもあれば、
今までは革製のバッグを使っていたけれども、次はファブリックにしてみようなど、その人その人の事情に合わせて変えられるところから、変えられる時にやればいい…。
緩やかだけれども、一歩づつ無理なく変わっていく姿です。
それはやがて自分が楽になり、環境にも優しくなり、社会も住みやすくなるはずです。
それは押し付けではない「意識の変化」から始まるからです。
緩やかに、自分のペースで変わっていくスピード感で…。
比べ合うことの無益さを分け合い、様々な生き方を理解しあい、そして個々を認め合える社会をデザインします。
ただ作ることだけで生まれた「物」から、デザインされた「モノ」や「社会」で暮らすことによって解決できることはあると思います。
それは作り手の考え方しだいです。
コンプレックス…
すべての社会課題の根底にあるものです。
コンプレックを感じない、感じさせない社会を目指して…。